あなたが生まれたのは、予定日の10日前でした。
予定どおりに生まれていれば、おにいちゃんと同じ誕生日になるところだったのですけれどね。
幼いころから穏やかで、人と争うことを嫌い、幼稚園の先生から『人望が厚い』という幼児らしからぬ評価をいただいていたのですよ。
反面、自分の気持ちをきちんと言葉にして表に出すようにと言われたこともあるようですね。
早くから興味のある分野がはっきりしていて、結局変わることなく今まできました。
高校に進学するときも、大学に進学するときも、第一志望校には手が届かず、辛い思いをしましたね。
努力する姿を見てきていた分、私の胸も痛んだことを昨日のことのように思い出します。
そのときは大泣きして悔しがったりもしましたけれど、すぐに気持ちを切り替えて、新しい環境を思い切り楽しみ、そこで最大限の努力をする強さを持っていたことにはいつも感心していました。
もちろん、いろいろと心配なことはありました。
饒舌なおにいちゃんの陰で、言いたいことは言えているのか、感情をあらわにしない分、我慢することが多くて全てを自分で抱えようとしているのではないか…などなど。
それでも、ひとつひとつをしっかり乗り越えて、自分の力にしてきたと今は思います。
今でも、あまり細かいことは話しません。
ある程度目処が立ってから、最終的な結論が出てから報告する…という形が多い人です。
よほどのことがない限り、何でもひとりで考えて決めてしまう人です。
途中経過を逐一話すことで、かえって心配をかけてはいけないと考えているのではないかと思います。
もうちょっと相談とか話とかしてくれてもいいのにな…と思わないではありませんけれど、まぁそれも性格なのでしょうね。
ポーカーフェイスも上手です。
精神的にとても安定していて、どんなことにもまずよい点を見つけられること、他人に対して寛容で、長所を見つけるのが上手なことはあなたのすばらしいところだと思います。
その前向きな考え方に、私が何度救われてきたことか。
私が偏った見方や言い方をすると、『こんなふうに考えることもできるよ』『こういうふうに表現すると伝わりやすいんじゃないかな』とやんわりと指摘されたこともあります。
自分が今するべきことは何なのか、いつもよくわかっている子でした。
ですから、勉強に関して苦言を呈したことはなかったと思います。
思えば、楽な子育てをさせてもらいました。

オレ、車の運転、好きだからさ~!
…と言って、運転主役も厭いません。
電車が止まって別の路線で帰宅するという父親を離れた駅まで迎えに行ったこともあります。
私が働いていたときは、暑い日や雨の日などに私を職場まで送迎してくれたこともあります。
祖母が入院したときには、祖父を病院まで送って行ったり、退院の付き添いをしたりもしてくれました。
深夜に兄を研究室へ送迎したこともあります。
特に長男が研究室にいて忙しくてなかなか帰れなかったとき『どこまででも車で迎えに行くから、とにかく一度帰って来なよ。うちでごはん食べて、お風呂に入って、また送って行ってもいいから』
と言ってくれたことには、今でも本当に感謝しているのですよ。
穏やかでおっとり構えているあなたが家の中にいてくれることで、家族みんながどれだけ安定して暮らせていることか…。
長男が就職するまでは、キャッチボールをしたり、素振りをしたり、野球談議に花を咲かせたりして、いい息抜きの相手になっていました。
私は、楽しそうな2人を見ているのが本当に大好きでした。
疲れているはずの長男の顔が、みるみる晴れやかになるのは不思議なくらい。
私を美術館やランチに誘ってくれたりするのも、本当に嬉しく思っています。
最近はうまく時間が合わなくてちょっとご無沙汰ですけれど、また行きましょう。
春からは、ひとつステップアップした働き方になりますね。
どういう生活になるのか、どういう姿を見ることになるのか、全くわからないだけに、ふとしたときに緊張した表情を見せることがあります。
私もちょっと落ち着かない状態です。
でもきっと大丈夫。
あなたがいつものあなたのままで、誠実に真摯に生きていけば、しっかりとやっていけると思いますよ。

お誕生日おめでとう!
今朝こう言ったときの返事はこうでした。

とーちゃん、かーちゃん、いつもありがとう!
今までもこれからも感謝してます
何だか大人になりましたね(*^^*)
まぁ、十分大人の年齢ですものね。
今度また、家族が揃う日にお祝いしましょう!
ちなみに、長男からはLINEが届いていたそうです。

お誕生日おめでとう!
奥川、獲得できてよかったね!
…のような内容だったとか。
昨日のドラフト会議でヤクルトが1位指名の選手のくじを見事引き当てたことへのお祝いですね(^_^;)
どこまでも野球好きな兄弟なのでした。
お誕生日、おめでとう!
今日がいい日でありますように。